第八話「裏切り?雪山に消えたマチ」

この「走り」も「ヒヲウ化」と見える。

ラクリ村の娘「マチ」と武家の娘「華」とはその生活習慣等の違いから、意見が合わず対立する。

対立し、尽く反発する二人なのだけれど、敵に追われ負傷した華にマチは肩を貸し、言い放つ。

アタシは一人で逃げたりなんかしない!
アンタが武家の子だろうとなんだろうとそんな事どうでもいい!
絶対に「炎」に連れて帰る・・・!!

この際に、マチは泣いているのである。
自己主張し、ソレを貫きながら泣いているのである。
正にこの瞬間、マチがヒヲウ(=主人公)になっているのだと言わんばかりである。
仮にこの時のマチがヒヲウ当人を目の当たりにした状況だったのならば、多分、泣きはしなかったのだろう。
然し、普段ヒヲウの言動を如何に見て、共に生きて来たからこそ、この場面でのマチの姿があるのでは無いかと、そう思わされるのである。



脚本:稲荷昭彦
絵コンテ:錦織博
演出:増井壮一
作画監督毛利和昭


機巧奇傳ヒヲウ戦記 DVD-BOX(上)

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第七話「守れ!秘密の華と雪」

「機巧奇譚ヒヲウ戦記」七話より。

少女が困っている、弱っている、泣いている。
それを見た、或いは見てしまった少年はただただその憂いを、涙を見過ごしてしまう事が出来ず、


『その少女を笑顔にしてあげたい』


という、それだけの、それだけだからこそ、その少年が少女の為に全力で走っているという絵面にイイ年したオッサン共が目頭を熱くしてしまうのである。
それこそ、様々な物語で何度と無く使い古された典型的パターンなシナリオであっても、作り手に「王道」を貫く意志があるなら尚更である。


脚本:會川昇
絵コンテ:西森章
演出:佐藤育郎
作画監督菅野宏紀


機巧奇傳ヒヲウ戦記 DVD-BOX(上)

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狩人と犬,最後の旅

「狩人と犬,最後の旅」より。

何のことはない、タイトル通り、犬橇を扱う狩人が引退を決意する迄の1年を撮った「日常」の映画である。
とは言え、その日常は我々が見たら厳しく、危険に満ちあふれたものであり、それは「冒険」と言い換えた方が適切と思える程なのだけれども、この映画の主人公であり正真正銘の狩人である彼、ノーマン・ウィンターにとっては間違いなく日常そのものの映像である。*1
その日常を六畳間に寝そべった状態で垣間見ているからこそ、受動させられるものがあると、そんな事を思わされる作品でしたわ。


『狩人と犬,最後の旅』に学ぶ人と動物の絆 [犬] All About

*1:最も、それを「撮影していた」という事自体は非日常だったのかもしれないですけど

第六話「目指せ!山の彼方へ」

ヒヲウ戦記六話より。

僕が未だガキんちょの頃は、四駆車ブームの真っ最中だった・・・と言って良いのかドォかは解らない程度に曖昧でウロオボエながらの発言なんだけれど、1970年代辺りにおけるジープブームの余韻や、未舗装路が未だ一部の人々の見解っから言わせる所の「充実」していた環境が残っていた田舎住まいだったからって事もあったんだろーけど、少なくとも昨今より、三菱ジープトヨタ・ランドクルーザーといった、今日日の総合的走破性能に優れた四駆車では無く、悪路重視的走破性能に優れた四駆車が多く見られ、それらが多くの人々にとっては一括りに「ジープ」と呼ばれる反面、そんじゃそこらに にわか大塚康生的なジープマニアのオッサンやお兄さんが恰も雨後の竹の子が如くにワンサカと湧き出ていた頃合いでもありまして、うっかり彼等の前で「あ、ジープだ」なんて発言しようものなら、鼻で笑われた挙げ句、にわかマニアっぷり極まるる、目から耳から得た知識を何のフィルターも通さず口から放出するが如しの解説をしてくれたものでした。
さて、そんな四駆車=ジープ といった時代、僕が最も傾倒していたのがジープそのものでは無く、その車体にオプションとして装備されている事がチラホラ見られた「ウインチ」でした。
その普段、舗装路を走っている分には全然実用的で無ぇのにも関わらず、スタック*1したり脱輪した時に・・・いやさ、敢えて言い換えるのならば大ピンチな時にのみ、その能力を全力発揮するという、事前準備可能的火事場の馬鹿力アイテム感とゆーか、「普段は何の役にも立てない駄目駄目っ子が実はスゲェ能力を持っていて皆のピンチを救う」とゆー、漫画やアニメでアリガチだったり、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督CUBE」で見られる様なキャラクター造形にも似た、秘められた力が故のカッチョ良さがウインチにはあるのだと、そんなん思わされる次第ですわ。



さて、ヒヲウ戦記六話ですが、そんなウインチ野郎のウインチマニアによるウィンチェスターの為の1話に御座いまして、ソレ即ち西部劇大好きっ子が故にレバーアクションライフル傾倒趣向に陥るとゆー・・・アレ?
閑話休題
何はともあれ、ヒヲウ六話はウインチ回なのでして、車輪の駆動だけでは登り切れぬ斜面をロープの張力へと加重を預け、その分散した重量を変換、前進の力にしていく、そんな1話だったりするんです。
ウインチ野郎ならずとも是非。


脚本:五武冬史
絵コンテ:赤根和樹
演出:渡邊哲哉
作画監督小森高博


機巧奇傳ヒヲウ戦記 DVD-BOX(上)

機巧奇傳ヒヲウ戦記 DVD-BOX(上)

*1:タイヤが雪や砂や泥に埋まって、前にも後ろにも動けなくなる状態の事ね、一応。

スコペロ

「スコペロ」1巻より。



「説明しよう!」


とはヤッターマンのナレーションにおいて、旧版においては故・富山敬が、現行版においては山寺宏一が登場メカの仕組み解説に入る際の掛詞である。
その際には主にメカの断面図や図解が挿入される事によって、「結局根本的にソレをキチンと理解出来るか?」と言われれば結構適当で曖昧な部分も多いのだけれども、だが、然し、その「説明しよう!」が入ることにより生じる「説得力」そして『こんな1話限りにしか出てこないメカの内側まで考え込んでいるんだ!』と、コドモゴコロを胸躍らせる細部ディテールにまで及んだ作り手の拘りが垣間見える事によって、


「なんだか冷静に考えたらチョット無理ある様な気がしないでも無い解説だったり図解だったりするけど、
 ンな事ぁ兎も角、カッチョイイから気にならないゼ!!」



と、全てにおいてカッチョイイ最優先なガキんちょ脳であるが故の説得力パワーが有ったわなーと、そんなん思うんですは。
例えば、マジンガーZ EDにおける断面図なんか、ソレの最たるものですわな。



さて、BGMに水木一郎アニキのこれまたカッチョイイ楽曲が流れているであろー最中、本日紹介しよーとするのはカサハラテツロー著「スコペロ」に御座います。

スコペロ2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

スコペロ2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)



まぁ、コレが、なんとも当年とって30歳になりますこの駄文の書き手におけるアニメだの漫画だのゲームだので地味に蓄積された「スペースコロニー知識」まんまを移植したかの様な主人公、有原文平(ありはら ぶんぺい)が実際にスペースコロニーへ移住した際における勝手な思い込みやらカンチガイやらによって発生する失敗と、それによってこれまた発生する「説明しよう!」的な図解解説とが、流石にヤッターマンを見ていた時の「カッチョイイから!」ってのと同列に扱うのとは違うんだけれども、少年向け科学誌でデビューし、「科学冒険漫画」を描いてきたカサハラテツローが故の図解によって、キチンと知識的に丸め込まれて納得させられる感覚がなんとも気持ち良い塩梅なのよ、コレが。
幼少期、「こども図鑑」が大好きだった様なオトナにゃー、是非ともオススメ。

洋式と和式と思わしき様式

「銀盤カレイドスコープ」2話より。

然し、よくよく思うに手前が小学生当時初めて洋式便器を使った際にゃー、


「こんな座った状態でクソを捻り出せるかボゲー!!」


等と喚き回ったものですが、今日日では和式便器を浸かった際に


「こんなウンコ座りした状態でクソを捻り出せるかボゲー!!」


等とホザくものだから『人って我が儘よね』とか、我が身を通して思う次第にあります。