ぼくと未来屋の夏

「ぼくと未来屋の夏」より。

中学生3年の時、家の近くにアジア系輸入雑貨屋が出来た。
最初、どんな切っ掛けでその店に入ったかは憶えていないが、所属していたバスケ部が夏の大会で負け、部活動が終わってしまった後の僕は、その分の空き時間を高校受験そっちのけでその店に入りたびる様になった。


そのお店には特にコレと言って毎回買いたくなる様な商品があった訳では無いのだけれども、店主のお兄さんとお喋りするのが何よりも楽しかった。
彼は、まるで中野ブロードウェイにある精神世界専門古書店やらサブカルチャー専門書店やらの書籍をひっくり返した様な雑学知識を持っていて、それでいて穏やかで、それなのに店は儲かってない風で・・・。
彼は大人だったが、まだまだガキんちょである僕を子供扱いしないで対話してくれた事が何より嬉しく、不思議でもあった。
彼は世間一般から見たら「立派な」人では無い所か、親からは「あまりああいう人とは一緒に居るな」と言われる様な人でもあった。
然し、実際の彼は他のどの大人よりも、子供である僕の話を対等に聞き、それに対する意見をしてくれる。
「何か何処かがズレている」とは感じていたモノの、ソレが僕だったのか、彼だったのか、立派な大人達だったのか。
結局の所、何がドォなってズレていたかなんて解らないままなんだケドさ。


そんな事をコレ読んでて思い出したですさ。

ぼくと未来屋の夏(1) (シリウスKC)

ぼくと未来屋の夏(1) (シリウスKC)

ぼくと未来屋の夏(2) <完> (シリウスKC)

ぼくと未来屋の夏(2) <完> (シリウスKC)

もう一歩進むとファンタジー側に入り込んでしまいそうなギリギリのラインで止まり、「考える」事で日常に引き戻される展開が、チョット他に類を見ないゾクっとさせてくれる感じでスゲェ良かったすは。