おそいひと



「彼には同情出来ない」だの
「共感出来ない」だのと。


予め見る前にサラっと見かけた評にはそんな意見がゴロゴロしていやがったので、
ンだったら俺はハナっから彼・・・この物語の主人公であり、重度の身体障害者
住田に同情やら共感やらをするつもりで見てみようと。
そんな事をば思いつつ行ってきましたポレポレ東中野



以下、思いっきりネタバレ含む為に読む人は反転して下さいな。
ンまぁ、とは言え、TV放映やらDVD化される可能性が皆無に等しい内容なんで
東中野の映画館に気軽に行けないん様だったら問題無く読んで下さいなと。

先ずは、コチラを参照。
http://osoihito.jp/story/index.html
大体、上記リンク先のストーリー概要とキャラクター紹介で察しが付くとは思うが、住田は敦子に恋をする。
そして、同時に介護者であるタケと敦子が出会ってしまった事に対して嫉妬を覚え、
その結果、タケを意図的に殺そうとし、それは成功してしまう。
とは言え、事故の様な死に方だった為、捕まる事も無かった。
この殺人の成功によって、住田の中で変化が起こる。
変化後の住田は障害者であるハンデをもろともせず、見ず知らずの人間のスキを見計らい、
殺害する通り魔になっていた・・・。







見終わった自分自身が先ず、思えた事は


「無茶苦茶共感も同情も出来るじゃねーかッッ!!」


とか言った具合でして。
ンでも、それこそ最初の殺人迄は極々アリガチな愛憎劇であり、あー、モォ勝手に愛ゆえに人は苦しんだり愛ゆえに人は悲しんだり愛ゆえに人は憎んだりしていて下さい私的にどーでもいーですケド。
ってな事をば思いつつ見ていたんですケド、それ以降の殺人となると全然意味が違ってくる。
多分に思う所、重度の障害者である彼が健常者を、それこそ嫉妬の上とは言え「殺してしまった」という事実は結果、彼にとってもの凄く大きな自信になったのでは無いだろうか?
普段、健常者が日常生活を送っていて、例えば昇進して給料が上がった、例えば告白して彼女が出来た、例えば勉強して試験に合格した等々、そういった自分自身の行動があってこその評価に値する結果が、劇中の住田の人生にそれ迄あったのだろうか? いや、多分無かったのだと想像出来る。
それこそ自身と健常者との違いや、決して障害者が生活しやすい訳では無い社会に対し、劣等感を感じていたのだと思える。
そんな彼が「健常者を殺した」事で「俺もやれば出来るじゃん!」と、そーゆー感じの思考とは違うのかもしれないケド、「障害者である自分が健常者を殺せる事実」そしてその「健常者を殺す事」に生き甲斐を見い出してしまうのは決して不自然な事では無いだろうと、少なくとも自分の視点からはそう思えた。



決して、「面白い映画」では無いんだけれども、
久々自分以外の人間になったつもりで物事を考えされられる良い作品でした。
都内に住んでいるのなら割と真剣にオススメしますんで見とけ。